※微積分の話です
いつだったかな、君たちと出会ったのは。
初めて君たちと出会ったとき、二人は凄くとっつきやすそうで、不器用な僕にも優しくしてくれたよね。
『安心しなよ。僕はただの関数だよ。』って。『大丈夫よ、単なる面積だわ』って。
僕は君たちの仲間に優しくしてもらったことがなくて、いつも怯えてばかり、闘ってばかりだったから、本当に嬉しかったんだ。
数列なんて一番手強くて、僕は凄く長い時間をかけて倒さなきゃならなかった。確率だってそうだ。
でも、君たちのことは全然怖くなかったし、むしろ友達になれるんじゃないかって思ってたんだ。
でも、やっぱり君たちはあの―――悪魔の集団、『数学』の一員だったんだ。
僕は今まで、不要な争いは避けてきた。物理、化学、日本史…かなわないってわかってたから。でも、君たちは僕の一番近くにいて、いつも見張っていたんだ。僕の悲願を突き崩すために、ずっと。
楽しかったよ、君たちがまだ優しかった頃!
だけどそれも一瞬だったね。君たちは暗殺者の一面を覗かせ、僕は破れた。まったくの不意討ちだったよ。まさかこんなことになるなんて…ね。
僕はまた闘うことになるだろう。力尽きて、倒れるだろう。死んだように眠るまで、僕は闘いをやめられない。
だけど仕方ないんだ。せめて次に巡り会ったときは、笑って言おう。『ああ、そんなこともあったね』と―――――
テスト終わりました。終わりました。